【保存版】ボートの調子が一発で分かる!「魔法の係数」を使ったスリップ率の簡易診断術
「最近、エンジンの回転数は上がるのにスピードが出ない…」 「燃費が急激に悪くなった気がする…」 「船底塗装をしたばかりなのに、走りが重い…」
愛艇にこんな違和感を感じたことはありませんか? それはもしかすると、プロペラが水を捉えきれずに空回りしている**「スリップ(滑り)」**が原因かもしれません。
今回は、電卓ひとつであなたのボートの健康状態を診断できる方法をご紹介します。
1. そもそも「スリップ」とは?
ボートのプロペラは、水という「流体」をかいて進みます。そのため、理論上の進む距離よりも、実際に進む距離は必ず短くなります。
- 理論値: プロペラがネジのように、滑らずに進んだ場合の距離
- 実測値: 実際にボートが進んだ距離
この「差(ロスした分)」をスリップ率とします。 タイヤで例えるなら、**「ぬかるみでタイヤが空転している状態」**です。空転すればするほど、燃料を無駄にし、エンジンに過度な負担をかけてしまいます。
2. 3ステップで完了!診断方法
難しい物理の計算は不要です。 あなたのボート専用の**「魔法の係数」**さえ分かれば、走行中にスマホの電卓で一瞬で診断できます。
ステップ①:あなたの船の「魔法の係数」を知る
まずは、以下の計算式であなたのボート固有の係数(k)を出してください。一度計算すれば、パーツ交換をしない限りずっと使えます。
係数 k = (プロペラピッチ × 0.0254 × 60) ÷ (ギア比 × 1852)
- プロペラピッチ: プロペラのサイズ(例:19インチなら「19」)
- ギア比: ドライブや船外機の減速比(例:1.52など)
- ※0.0254、60、1852は単位変換のための固定数値です。
【計算例:ヤマハUF-28 (SX420KSH) の場合】
- プロペラ:19インチ
- ギア比:1.52
- 係数 k = (19 × 0.0254 × 60) ÷ (1.52 × 1852) ≒ 0.0103
この船の場合、**「0.0103」**が魔法の係数です。
ステップ②:理論上のスピードを出す
走行中、タコメーターの回転数に、先ほどの係数を掛けます。
理論スピード(kt) = 今の回転数 × 係数
例)2700回転の場合: 2700×0.0103=27.8 ノット これが「もし全く滑らなかったら出るはずのスピード」です。
ステップ③:健全度(効率)を割り出す
GPS魚探などで表示されている「実際のスピード」を、理論スピードで割ります。
効率(%) = 実際のスピード ÷ 理論スピード
例)実際は20ノットしか出ていない場合: 20÷27.8=0.719... → 効率 約72% (逆に言うと、28%スリップしています)
3. 診断結果の見方(判定表)
算出された「効率」の数字で、今のボートの状態が分かります。
| 効率(目安) | 判定 | 状態と対策 |
| 0.80 以上 | S (最高) | 絶好調です。 船底もきれいで、プロペラのマッチングも完璧です。 |
| 0.70 ~ 0.79 | A (正常) | 通常範囲です。 巡航状態でこの数値なら問題ありません。 |
| 0.60 ~ 0.69 | B (注意) | 船が重い、または汚れています。 「重積載」の可能性が高いです。無理に回転を上げず、少し落として走りましょう。 |
| 0.59 以下 | C (危険) | 異常事態です。 プロペラが水を噛んでいません。燃料の大半を捨てています。 即座にスロットルを戻し、排水量航行(低速)に切り替えてください。 |
船長からのアドバイス
もし普段は「0.75」くらいあるのに、ある日突然「0.60」まで下がったら? それはエンジンの故障ではなく、**「船底の汚れ(フジツボ等)」や「荷物の積みすぎ(重心不良)」**のサインであることがほとんどです。
この計算式を覚えておけば、無駄な燃料消費を抑え、愛艇のエンジン寿命を延ばすことができます。 ぜひ次回の出港時に、電卓を片手にチェックしてみてください。
